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Feature Article – To Do or Not to Do (Japanese)

やあ、また少し間が空いてしまったね。
前回の記事を寄稿してからアヴァシンの帰還が発売され、プロツアーバルセロナがあって、
たぶんこの記事がアップロードされる頃にはグランプリアナハイムも終了していると思う。
一番大きいイベントだったのはもちろんバルセロナだね。
このバルセロナで1つのシーズンが終わり、また新たなシーズンが、
そういえばもう始まっている新たなシーズンについて何も発表されなくて困っているところだけど、
流石にこの記事が出る頃には発表されていると期待しているというところかな。

(ウィザーズに提案なんだけど、プレミアイベント、ポリシーのだいたいで良いから発表時期のアナウンス表、ロードマップみたいなものを出してくれないかな?何もない暗闇の中を前に進めというのは僕達にとって相当不安になるものなんだ)

そのバルセロナなんだけど
ここでレポートを書けるような出来だったら良かったのだけど…
残念ながら僕の中ではとてもそういえるレベルではなかった。
順位こそ46位、そして前シーズンの目標にしていたマジックワールドカップの参加権を取れたのは凄く嬉しいのだけどね。

そういえば前々回の記事で書いた彌永についてなんだけど、
奇跡がめくれたようなんだ。
渡辺雄也から伝え聞いたところによると、
考えを変えてくれてワールドカップに出ることを検討するまでになったらしい。

おっと、脇道にそれてしまった。
今回は僕の事柄以外について、
日本人の中からバルセロナで好成績を挙げたプレイヤーについて話すことにするよ。

行弘賢
1年くらい前、プロツアーパリで活躍した日本人について紹介したと思うのだけど、
あの時は中田、石村に負けてトップ8を逃した行弘はバルセロナでとうとうトップ8の座を掴んだ。
この1年の彼の足取りを簡単に辿るとパリでのトップ17位入賞と次のプロツアーへの参加権で再びプロポイント25点規定のグレイビートレインに返り咲きながら、このシーズンは振るわず年末の世界選手権では再びのグレイビー落ち、
だけどそこから年末のファイナルズでトップ8に入り、
2月のグランプリ神戸準優勝によってバルセロナの権利を獲得。
そして今回のプロツアートップ4入賞で日本人4人目のプラチナステータス保持者になったんだ。
こうやって足跡に辿ってみるとなんとも浮き沈みが激しいね。
前の紹介の時に日本選手権を3連敗スタートから残りを全勝した話のように、
どうも彼は、まあ僕が間違いなくそういう傾向があるのだけど、一度追い込まれないと本領を発揮できないんじゃないかとも思ってしまう

だけど日本人の中でこの1年で最も成長したプレイヤーは間違いなく行弘という事は疑いはない。
それはマジックの純粋なプレイングという面以外についてもだよ

行弘の長所はその性格、なんにつけ素直というところにある。
もちろんそれが悪い方向に行ってしまうと考えなしの行動にいってしてしまう時もあるけれど、
間違いを犯した時に素直に謝れる器量とそれを笑い話にしてしまえる愛嬌がある。
浮き沈みがありつつも良好な人間関係を築いていったことは行弘にとっては大きな財産になったと思う。
この1年で彼は自身のネット配信コンテンツを日本有数のものにまで育て上げたし、
ワイアードではない世界においても真剣にマジックと向き合えるコミュニティを構築した。
山本明聖の誘いで和歌山、大阪の隣の県に引っ越し彼の店を手伝うようになってから
彼の店の常連達と関係を構築し、研鑽を積み、
バルセロナには行弘、山本を含めて4名もの予選突破者を生んだ。
そしてその事によって更にバルセロナへ向けて集中して取り組める環境を作り上げたんだ。
もちろん少なからずの部分で付き合ってくれた友人がいたという幸運があっただろうし、山本の協力も大きかったと思う。
だけと一番大きな役割は占めていたのは行弘の熱意だと思うよ。

和歌山というコミュニティはいまや大阪や名古屋といった大都市よりも注目に値する集団だ。
バルセロナのデッキで僕が最も感銘を受けたのはヤソ、八十岡翔太のデッキだけど、
次に来るのは彼をトップ8へと押し上げたリアニメイターデッキと
『皆がリアニメイターを持ち込んでくると思ってその先を見すえた構成をしてしまったけど、やり過ぎだった』
だね。

これまでグレイビートレインという地位の確保が優先課題だった行弘にとって、
一足飛びにプラチナという二段上のステージに上がれたことは大きな意味があると同時にこれまで自分が築いていった人間関係から、どういうステップを選ぶかという分かれ道にあると思う。
もし、彼がプロプレイヤーとしてもう1ステップ上を目指すことを決めたなら…
いや、それは違うな。
彼が例えどういう道を選んだとしても僕が今最も期待している日本人プレイヤーだよ。

清水直樹
ちょっと記憶が定かではないけど、
バルセロナにおけるもう一人の日本人トップ8、清水直樹について話すのはたぶん初めてになるはずだね。
彼についてはもう『古参』といった方が良いのかな、
国際的な舞台では3年前のキブラーが優勝したプロツアーオースティンでドレッジを使ってトップ8に入賞というのが彼の実績で、
その年を境に大学を卒業して就職。グレイビートレインとトーナメントマジックの第一線からこそ離れたのだけど、
それからもこれまでとは違った形ではいるものの、トーナメントマジックと向きあっている稀有なプレイヤーだ。
日常の仕事の合間にデッキを構築して、週末は日本の何処かのPTQに参戦、もしくはグランプリでプロツアーの権利を勝ち取る。
もちろん、完全にかつてと同じという訳ではないよ。
例えば去年のプロツアーフィラデルフィアでは国内PTQで権利を取れなくて、結局フィラデルフィアでの直前PTQまで行ってたけど、そこでも権利が取れなかった。
フルタイムではないという障壁は当然ある。だけど学生時代には無かったお金というリソースを武器にスケジュールを組み上げ、仕事と両立させている。

かつては学生が多くを占めていた日本のプレイヤー層も高年齢化し、
多くのプレイヤーが学校の卒業と同時にこのゲームを去っていく中で、
彼を代表とする、こういうライフスタイルを取っているプレイヤー達を僕はすごく尊敬している。少なくとも僕には絶対にできないことだからね。
そんな彼らにとってプレインズウォーカーポイントが廃止になった上で、これまでは目標ともなりえたグランプリトップ16にプロツアー参加権が無くなったことは梯子外し以外の何者でもなかったと思うし、大打撃だったと思う

それでも清水はPTQを勝ち上がり、こうしてトップ8の座に舞い戻ってきたんだ。

彼は日本国内でもかなり知られた存在で、
かつての『第三世代』グループ、渡辺、彌永、石村といった面々の中から、
グランプリや日本選手権トップ8入賞でかなり早い時期から頭角を表していたし、
それ以上に他の若手プレイヤー達が消極的だった事。
記事を書くという分野においては彼の独壇場ともいえるものだった。
当時の若手プレイヤーや売り出し中のライターで、
彼と同レベルの実績を持っていたり、同レベルの質の記事を書ける者、中にはそれ以上だった者もいるよ。
でも彼と同レベルの実績を残しつつ、同レベルの質の記事を書けるのは清水だけだったんだ。
もう1つ、彼には他の日本人にはない大きなスキルがあった。
それは英語で情報を発信出来ることだ。もしかしたら過去に清水の記事を目にしたことあるかもしれないね。

僕のような辛うじてコミュニケーションが取れる程度の英語力ですら、相当マシな方とお寒い状況にある日本人プレイヤー達の中にあって英文で記事を寄稿し、ほぼ完全な会話を英語で出来る清水の存在は飛び抜けていた。
プロツアーで日本人へのインタビューを試みる際、その影に清水が通訳としていたことは一度や二度ではないと思うよ。

そんな清水なんだけど、今も昔も日本人の中では実績の割に評価が分かれているプレイヤーだね。
日本語に『中二病』という言葉があって、
意味は中学2年生くらいの若者にありがちな子供っぽい万能感、嗜好症候群といった意味合いの言葉なんだけど。

清水が日本国内において発信するものはその中二テイストに溢れているものが多いんだ。それは本人も自覚しているし、むしろ積極的に演じてさえいる。
例えば彼は青緑という色に並々ならぬ執着を持っていて、大会に持ち込むデッキもまずは青緑の構築からスタートするし、自らを記事ではシミックの王子と名乗ったりしている。今回、ナヤカラーのデッキをプロツアーで使った事を知った一部のファンはもちろん冗談だけど、
『ナヤの暗黒面に落ちたシミチンなんて見たくない』
なんて煽ったりもする。それを本人が見て喜んで反応する。

時々見る分には面白いのだけど、あまり長いこと近くにいると疲れる。そんなキャラクターだね。
僕も嫌いじゃないんだけどね。まあ説明しづらい事って世の中には色々あるよね。

次のシアトルは仕事の予定がかなり厳しいみたいで今のところ行けないと言ってたのだけど、何とか来てくれれば… うーん良いかなあ

八十岡翔太
またしてもトップ16。
トーナメントマジックにおいてトップ8というのは絶対的なステータスだ。
僕達プロプレイヤーが他のプロプレイヤーを評価する際にその彼が何回プロツアートップ8に、大分落ちるけどグランプリトップ8に入ったかを参考にすることはあっても
トップ16に何回入ったかなんて事を議題にすることはほとんどない。
でもヤソについては、ヤソについてだけはそう言っても良いように思えるんだ。

今年のプロツアー、闇の隆盛とアヴァシンの帰還で両方ともトップ16。
アベレージでトップ16、プロツアーだけでプロポイント30点というのは『あの』ジョン・フィンケルを除けば誰よりも高い数字で、
それはヤソがマジックワールドカップの出場権を手に入れている事からもはっきり現れている。
これが構築ラウンドだけの話になるなら今世界で最も対面に座ってほしくない相手は間違いなくヤソ以外にないだろう。

なにせ闇の隆盛で8勝1敗1分け、アヴァシンの帰還では9勝1分け。
プロツアーという最高の舞台で、ヤソは20戦もやって1回しか負けていないんだ。
行弘のところで言及したけどバルセロナで最も感銘を受けた限定構築デッキは他でもない、
またもや前日に組み上げたらしいこのヤソデッキだよ。

ヤソにとってプロツアートップ8とは本当にあと1つどこかで、
このところ特に忙しいらしくてプレリリース状態になっているリミテッドラウンドで勝てば良いだけなんだ。

去年、僕はマジックの殿堂に関連してヤソについて書いた。
そしてプロツアートップ8に残る日本人を賭けるとしたらヤソに賭けるとも書いた。
賭け金は没収されてしまったけど、それでも僕はヤソに賭け続けるよ。

そしてあるかは解らない、だけどあって欲しいと願っている今年のマジックの殿堂についてもだ。
PVDDRに入れないという選択肢をする投票者がいるとは思えないし、
おそらくかなり近いところで津村についてもそうだと思っている。たぶん大磯もそうだろうね。そして願わくば4人目にヤソであってほしい。
ヤソは彼らと比べて勝るとも劣らない、未だに世界で最も過小評価されているプレイヤーなんだ。

読んでくれてありがとう。
                         中村修平

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