Feature Article – Cryptic Command : Three or Four? (Japanese)

3 or 4
こんにちは、初回の記事を読んでくれた人、そしてコメントをくれた人ありがとう。
今回はチャネルファイアーボールで書く2回目の記事になるね。初めはグランプリアトランタでのレポート記事。青白コントロールを使ってそこそこの成績(11勝4敗)とメインボードの明らかなミスにデッキの改善案、サイドボードプランについて書こうと思ったのだけど、僕自身の問題である翻訳にかかるタイムロスを考えると賢明じゃないな。そう考えてるところに日本の友人からとても良い記事のネタを貰った。

『フェアリーに《謎めいた命令/Cryptic Command》は4枚以外にありえない。』

そう、PVsPlayhouseの一節だ
PVのフェアリーAtoZについては日本でも広く関心が持たれていて、
英語を読めないわけじゃないんだけど能率の悪さからと英語恐怖症というファイレクシア病に似た病を感染している消極的な大多数の日本人の為に、なんと何人かの日本人プレイヤーが英語から日本語へ無償で翻訳までしている。その中でも特に議論の中心になっているのが前述の《謎めいた命令/Cryptic Command》の枚数についてだ。日本でも今がエクステンデットPTQシーズン(しかも名古屋だ)、そして日本でも多くのフェアリー使いがいるだけに話題の中心になっている。

ちなみに僕もPVと同じく4枚派だよ。
《謎めいた命令/Cryptic Command》はただでさえ強いカードだけど、フェアリーデッキで使った時こそ、本当に馬鹿げた強さのカードになる。重要な点はこれまでもPVが、そしてあらゆるプロ達が口を揃えて言っているようにフェアリーはコントロールの外見をしたアグロデッキだという事だ。
クリーチャーを出してカウンターで守る、あるいはカウンターをしながらクリーチャーを出す。それに手札破壊と除去を絡めつつ時にはプレインズウォーカーを駆使する。フェアリーのデッキを事象を追って説明するならこうなってしまうけど、それでは全く説明になっていないのはフェアリーを使った事があるプレイヤーで無くてもすぐわかる。
デッキの指向性というアプローチで説明を試みた場合として似たような概念で序盤の強力なクリーチャーを展開して、それ以降はカウンターで後続を打ち消し続けるクロックパーミッションというデッキタイプもあるけどそれとも少し違う。
フェアリーはたしかにカウンターで後続を遮断するけど、強力なクリーチャーと言うものを展開することは決してない。《苦花/Bitterblossom》?、確かに脅威だよ。でもちょっと考えてみてくれ。《苦花/Bitterblossom》単体では、所詮は毎ターン1/1トークンを生み出す程度の能力だ。それだけを2マナのビートダウンクリーチャー、《タルモゴイフ/Tarmogoyf》なんかと性能比較するとずっと劣るカードだし、《苦花Bitterblossomを2ターン目に貼れたから即勝ちという訳ではない。《思考囲い/Thoughtseize》から《苦花Bitterblossomという最高のスタートを切りながら、続々とクリーチャーを展開されて蹂躙されていくフェアリーユーザーなんてこれまでもこれからも存在し続けていくだろうし、同じように《霧縛りの徒党Mistbind Cliqueだって4マナ4/4にオマケつきというところだけ見るなら《カメレオンの巨像/Chameleon Colossusや新カード、スランなんかの方が強力だ。

だけど実際には結果は概ね逆となる。対戦相手のクリーチャーはトークンの前に足を止められてダメージが入らず、脇から溢れ出たフェアリーが対戦相手のライフを少しずつ、しかし確実に増大しながら削っていく。
この逆転を可能にしているフェアリーの長所というか特徴は、ほとんどのカードがインスタントタイミングで動けるということ、これまでのカウンターデッキが潜在的に背負っていたマナを無駄にするというターンを極力除外している事にあると僕は考えている。
その事にカウンターデッキでもあるという事が合わさった場合何が起こるかというと、一方的なダメージレースへの干渉だ。
対戦相手が毎ターン3点分の脅威を展開したい?ふむじゃあこちらも《ヴェンディリオン三人衆Vendilion Cliqueを出す事にしてイーブンに。でもこっちは《変わり谷Mutavaultがあるから時には5点分だよ。
対戦相手が5点分の脅威を、オーケー、それなら《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Cliqueを出すのは次のターンにするとしてこのターンはその《長毛のソクター/Woolly Thoctarを打ち消すよ。マナを使い切って攻撃してきた?じゃあ《霧縛りの徒党Mistbind Cliqueでそのクリーチャーを一方的に殺して、次のターンには君が与えようとしたダメージより大きなダメージを与えに行くよ
といった具合に、フェアリーにはお馴染みの光景とも言えるけど、絶えずダメージレースに干渉できるフェアリーにとって都合が良いようにゲームが進行していくことになる。僕がコントロールの外見をしたアグロデッキというのはそういう事に起因している。《謎めいた命令Cryptic Commandはそんなフェアリーにとって上手くいってる時は最高に欲しくて、そして上手くいってない時にもやはり最高に欲しいカードだ。このカードはフェアリーにおいては何よりも貴重な1ターン分のダメージレースを最低でも、本当に最低の時でも無効化できる。最高の時なら言わずもがな、1ターンのダメージを無効化しつつブロッカーをどかしてついでに何かしらのリソースを奪う。そんな長ったらしい言い方を要約するとつまりはゲームに勝つという事だ。
緊急回避のキャントリップ付き《濃霧Fogとして撃つ時がとても弱い。その通り。何せそんな事態で弱いという思ってしまう状況で撃つ命令は数ある使い方の中でも最低だからね
でもそんな時に果たしてどんなカードなら変わりが勤まると言うんだ?

たぶん3枚派の意見はここまでは同じで、ここからが違うんだろう。
彼らは確かに強いけど、他のカードの欲しいと考えていて実際にその構成をトーナメントに持ち込み、結果を残している訳だ。彼らの意見を聞いてみるのもおもしろいんじゃないかな?
たまたまなんだけど僕は2月から東京に引っ越していて、PVの記事にもあった世界選手権トップ8、ジョナサン・ランデルが使用したエクステンデットデッキのオリジナルデザイナー、井川良彦がプロツアーパリの練習で家に来ている。
今回のお題は練習の合間にその井川にそこら辺を聞いてみた。
3or4。つまり井川がどう考えて《謎めいた命令Cryptic Commandを3枚にしたかという事が主題だ。
誤解の無いように予め言っておくけど井川が正しいとか、間違っている。という結論に持っていくつもりはないよ。
どういう理由で《謎めいた命令Cryptic Commandが3枚が良いという判断を下したのかということに興味があり、その背景にある理論がPVの理論とどう違うかというのを対比させてみると読み物として面白いのじゃないかなという考えからだ
それでは井川のインタビューを始めてみよう

やあ、まずは簡単に自己紹介からはじめようか

井川:
井川良彦です。
東京在住のレベル4プレイヤーで主な戦績は初出場のプロツアーサンディエゴ2010でトップ8、プロツアーサンファンが24位、このプロツアーではPVに最終ラウンド前、トップ8がかかっているマッチで負けたのも実績かな(笑)
普段は東京でほぼ毎週やっている100人規模のスタンダードトーナメント、PWCや五竜杯なんかに参加しています。

何でランデルは井川のデッキを使ったの?

井川:
友人でイギリスチャンピオンのダニエル・ガードナーから会場で声をかけられたからですね、『デッキを売ってもらえない?』って
その時に友達がトップ8ラインにまだ残っているからその友達にも頼むと言われたのが馴れ初めです。それとは他にもう一人、日本人の友人との合計で4人が使って6-0、4-2、4-2、3-3という成績でした。ちなみに一番成績が悪かったのが自分です。3連勝して3連敗…

核心部分について聞きたいのだけどなんで青命令は3枚なの?

井川:
4マナ域の枚数の問題です。世界選手権用に準備していたフェアリーデッキがそもそも2パターン用意していて
1つが《謎めいた命令Cryptic Command4枚にして、実際に使ったものから《忍び寄るタール坑/Creeping Tar Pit》や《地盤の際/Tectonic Edge》を追加して土地を合計で26枚。除去カードを4枚に減らしているバージョン。
もう1つが実際に使用した《謎めいた命令Cryptic Commandが3枚のバージョンです。土地が25枚の構成だと4マナ域は9枚が限界だと感じていたのでこんな構成になりました。そしてこのバージョンを選択した一番の理由は自分の成績的な問題からです。
エクステンデットラウンド前で既に6勝6敗になっていて賞金圏内に入るには全勝か5-1が必要、トップ8が狙えるような上のラインの人間はコントロールを使ってきそうで、除去カードが少なくて無駄になり辛い上のバージョンの方が良いと思ったけど、下のラインだったらビートダウンを使ってきそうなイメージがあったので除去が多い下のバージョンの方が強いと思ってこちらを使いました。

4マナ域が9枚だから。なるほどそれは理解できる。
フェアリーは土地が4枚まで伸びないと本当に厳しいデッキだからね。
ではなんで3つある選択肢から《謎めいた命令Cryptic Commandを抜くという結論になったの?

:井川
さっきも言ったようにビートダウンデッキと多くあたると思っていたので、
なるべく軽い呪文、特に除去を多く入れて初手のキープ率を上げたかったんです。
命令も出来れば4枚入れたかったんですけど、構築していたゲームプランと手札破壊呪文の兼ね合いから《霧縛りの徒党Mistbind Cliqueを優先しました。
自分がフェアリー使いとしてそんなに強くないプレイヤーだと思っているので簡単に勝てて、かつ解りやすい構成にした方が良いと思ったからです。手札破壊を多く入れて頻繁に相手の手札をチェックしながら、戦闘フェイズ中の《霧縛りの徒党Mistbind Cliqueでアドバンテージを得る。そうしたいから《霧縛りの徒党Mistbind Cliqueは4枚。
除去と手札破壊が多い構成だから《精神を刻む者、ジェイスjace, the Mind Sculptorも守りやすいし、簡単に勝てるから《精神を刻む者、ジェイスJace, the Mind Sculptor2枚はやっぱり欲しい。そうやって構築していくと9枚の枠の中から4枚目の命令は抜けてしまったのです。
へたくそでも勝てるフェアリーを目指して作った結果として、命令が3枚になっちゃったんです。なのでちゃんとフェアリーが使いこなせる人なら絶対に命令は4枚の方が良いですよ。

ありがとう、中々面白い話だったよ。
最後に何かチャネルファイアーボールウェブの読者に伝えたい事があればどうぞ

:井川
命令3枚構成にランデル君は係わってないから、責めるなら自分を責めてね。

こうしてPVと井川、2人の主張を読み比べてみると、
僕が思うにフェアリーをどういう風に構想しているかという部分に起因していると思う。PVや僕のようなプレイヤーはフェアリーデッキをフェアリーという一種独特のカテゴリーとして分類しているのは疑いない。コントロールにしてはいささか攻撃的すぎるし、ビートダウンにしてはなる時もあるけど、そこまで高速ではない。かといって他の中速デッキと比べても同じようなタイプのデッキがいる訳ではない。フェアリーには他のデッキタイプとは違ったフェアリー的とも言うべき使い方があって、《謎めいた命令Cryptic Commandはその使い方に必須の潤滑油。それこそ赤いビートダウンが自動的に《稲妻/Lightning Bolt》を4枚入れるようなものだと考えている。
それに対して井川はフェアリーをもっと類型的な何かとして、たぶん青黒ビートダウンの延長として捉えている。本人も言っているように手札破壊や除去で戦場をコントロールしながらダメージレースを優位に進めて、ジェイスや徒党で相手の抵抗にふたをするという実に明確で攻撃的なゲームプランだ。そしてこれはplayhouseでPVが述べている一節とは実に見事な対比を示している。

one of Faerie’s greatest strengths is that it is incredibly hard to play against, sometimes impossible, since all the spells they have are instants and they all interact with you in a different way

《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》を戦闘フェイズ中に唱えることは大きな利益を生むけど、同時に多大なリスクを背負う事にも繋がりやすい。井川はフェアリーをビートダウンデッキと捉えることによって、明らかにフェアリーが本来持っている潜在能力の一部を落としてしまっている。けれど代わりとしてデッキの安定性とプレイングの指針、そして一貫性を得ていると思う。
井川に話を聞き、その思考を辿ってみても僕の結論はやはり4枚派だ。だけど誰でも不得意なデッキタイプはあるんだし、誰しもがPVのように上手くフェアリーを使いこなせる訳じゃない、苦手なデッキがある、しかしそれが環境最強デッキであるなら、
弱さを認める事は決して悪い事ではない。弱いところがあると理解出来てこそ初めて向上する事が可能になる。強くなる為にはまず自分に足りていないところを認識しなくちゃいけないんだ。フェアリーが苦手なプレイヤーがフェアリーを使う為にはどうすればよいのか、
難しくなるからあえて使わない、
井川のデッキ構築アプローチはその点でとても有効だと思うよ。

それではまた次回、
読んでくれてありがとう。
中村修平。

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